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JAXAが開発した、高性能マイクロ波放射計(AMSR)と、その姉妹センサである、改良型高性能マイクロ波放射計(AMSR-E)のセンサの仕様や概要について解説します。

ADEOS-II/AMSR

センサーについて

AMSRは8周波帯を垂直・水平偏波(但し50GHz帯は垂直偏波のみ)で観測する全電力型マイクロ波放射計です。地球表面を一定の入射角で観測するためにコニカル走査方式を採用し、複数の一次放射器を配列して多周波観測を実現しています。高温校正源(〜300K)、及び宇宙背景放射(〜3K)を導入する低温反射鏡により、1走査毎に校正データを取得します。アンテナには口径2mのオフセットパラボラを採用していますが、これは衛星に搭載された同種センサの中で最大のものです。マイクロ波放射計の視力、つまり空間分解能はアンテナの口径でほぼ決定されるため、AMSRの大型アンテナは従来の2〜3倍の空間分解能で全球の観測を可能にします。これは、雲・降水・海氷・陸域などの、空間スケールの細かい対象を解像できるようになるだけでなく、地球物理量の推定精度向上にも寄与します。

典型的なマイクロ波放射計の周波数帯に加え、6GHz帯のチャネルは雲域下での全球海面水温や陸域における土壌水分、50GHz帯のチャネルは気温の情報をそれぞれ得るために付け加えられています。
中心周波数(GHz) 6.925 10.65 18.7 23.8 36.5 50.3 52.8 89.0 89.0
A系 B系
帯域幅(MHz) 350 100 200 400 1000 200 400 3000
偏波 垂直および水平 垂直 垂直および水平
3dBビーム幅(°) 1.8 1.2 0.65 0.75 0.35 0.25 0.25 0.15 0.15
瞬時視野(km) 40x70 27x46 14x25 17x29 8x14 6x10 6x10 3x6
サンプリング間隔(km) 10x10 5x5
温度分解能(K) 0.34 0.7 0.7 0.6 0.7 1.8 1.6 1.2
入射角(度) 55.0 54.5
ダイナミックレンジ(K) 2.7 - 340
走査幅(km) 約1600
積分時間(ミリ秒) 2.5 1.2
量子化ビット数(bit) 12 10
走査周期(秒) 1.5