AMSRを知る  › 水惑星地球の探査
JAXAが開発した、高性能マイクロ波放射計(AMSR)と、その姉妹センサである、改良型高性能マイクロ波放射計(AMSR-E)のセンサの仕様や概要について解説します。

水惑星地球の探査

水惑星地球の探査
近年の太陽系探査により、月の極域に氷が存在する可能性や火星表面における洪水の痕跡など、水に関する興味深い観測結果が示されるようになりました。しかしながら、我々の地球ほど豊かな、そして様々な姿を持つ水に恵まれた星は他に見つかっていません。

地球表層における様々な現象のエネルギー源は太陽放射ですが、その収支や輸送は海洋・陸水・土壌水分及び雲水としての液体の水、雪氷や海氷ならびに氷晶雲粒としての固体の水、そして大気中の水蒸気としての気体の水の存在によって大きく支配されています。これらの水が相変化を伴いながら地球表層内を移動することにより、顕熱・潜熱の放出、大気・海洋・陸面のエネルギー交換などを通じ、短時間の気象変化から長期の気候変動に至る地球システム変動の原動力となっています。火星や月と異なり、地表の平均気温が現在のような範囲に安定している事実もまた水の存在によるところが大きく、地球という惑星を生存可能な状態に保っているといえます。このように、水は人類を含む生態系にとっても不可欠なものであり、まさに地球環境を特徴づけているといえるでしょう。

このような水・エネルギー循環のメカニズムには明らかにすべき点が多く、全球を広範囲・高頻度で調べることのできる人工衛星からの地球観測に期待が寄せられています。AMSR/AMSR-EはADEOS-IIおよびAquaの中核的なセンサの一つとして、水・エネルギー循環の定量的把握に必要な様々な物理量を全球規模で継続観測し、気候変動シグナルの検出に貢献します。

大気圏 水蒸気量の分布図 水蒸気量の分布図
海洋圏 海面水温の分布図 海面水温の分布図
雪氷圏 南極大陸周辺の海氷分布 南極大陸周辺の海氷分布
陸 圏 積雪の深さ 積雪の深さ