エルニーニョ現象が海洋だけでなく大気循環にも影響を与えるように、地球表面積の約3分の2を占める海面での大気・海洋間フラックス(物理量の輸送・交換)は水・エネルギー循環を考える際に重要です。海洋から大気への熱フラックスは大気大循環の駆動力であり、その全球規模での把握は大気・海洋結合数値モデルの改良に貢献します。AMSRはフラックス算定に不可欠な海上風速や海面水温の均質なデータを広域にわたり取得します。マイクロ波観測は雲の有無に左右されないため、従来の熱赤外観測では困難であった時空間的に欠測の少ない海面水温の推定が期待されています。また、このように高頻度な海面水温観測データは、漁場予測などの実利用面においても利用されるでしょう。