水惑星地球の探査
大気圏
地球上に存在する水の中で大気中に含まれる水の割合は驚くほど小さく、全体のわずか0.001%程度でしかありません。しかしながら、水蒸気から雲・降水・降雪に至る相変化の過程で潜熱の吸収・放出を行うこと、水の循環や滞留の時間スケールが海洋などに比べて遙かに短いことなどから、水は活発な大気現象の原動力となっています。深刻な被害をもたらす台風を例にとっても、その膨大なエネルギーの殆どは潜熱の放出によって生み出されたものです。このような潜熱の効果以外に、水は放射収支にも影響を与えています。雲は太陽放射を反射する一方で地球表面からの赤外放射を良く吸収するため、雲の反射率や高さによって冷却効果・温室効果の二面性を持っています。
また、水蒸気は主要な温室効果気体のひとつであり、現在の地上気温を決める上で重要な役割を担っています。AMSRは水蒸気量や雲水量、降水量などの全球観測を行い、これらの現象の定量化に貢献します。
(画像:水蒸気量の分布図)