巨大氷山が南極の周りを漂っています。
昨年(2002年)の5月、南極のロス棚氷から分離した、島根県に匹敵する大きさ(幅約30km×長さ約200km)の巨大氷山の動きを、AMSR-Eが毎日観測しています。図1はAMSR-Eが2003年5月31日に観測した、南極大陸とその周辺の画像です。日本が夏に向かって暖かくなる中、南半球にある南極は太陽が昇らない極夜の季節へと向かっています。日本の南極観測の拠点である昭和基地(南緯69度00分、東経39度35分)では、6月1日から7月14日頃までの約一ヶ月半、太陽を見ることができなくなります。AMSR-Eが毎日観測しているこの巨大氷山は、南極点をはさんで昭和基地の反対側にある南極大陸最大規模のロス棚氷から2002年5月に分離したことが確認され、C-19と名付けられた氷山です。なお、画像中で南極点付近が黒い丸になっていますが、これはAMSR-Eでは観測できないためにデータがないことを示しています。
図2、図3は図1中の青色の線で囲まれた領域を拡大し、AMSR-Eが定常観測を始めた2002年7月から現在までの氷山の位置を示しています。2002年8月に入るとロス棚氷の沖へ流れ始め、10月から2003年4月の間に半回転したのち、さらに北へ流れていることが確認できます。
天候に影響されにくく昼夜を問わず観測が可能なAMSR-Eは、これまでの同種のセンサよりも地表面分解能が高いことから、このような観測ができました。近年、氷山の流出が増加傾向にあり、地球温暖化との関係が指摘されています。今後ますます、このような地球観測衛星による観測が重要になるでしょう。
|