資料を読む  › トピックス › 2002年11月
プレスリリースや、会議情報、アルゴリズム記述書や、一般向けの出版物のデジタルアーカイブなど、AMSRやAMSR-Eに関する情報を提供します。

トピックス

2002年11月

2002/11/15

Aqua衛星搭載AMSR-EとMODISによる同時観測:
日本上陸直前の台風21号「HIGOS」

NASAの地球観測衛星Aquaには、宇宙航空研究開発機構が開発した改良型高性能マイクロ波放射計(AMSR-E)の他に、4つのセンサが搭載されている。その中の一つである中分解能撮像分光放射計(MODIS)は、NASAのゴダード宇宙飛行センター(GSFC)によって開発された光学センサで、0.4〜14μmの範囲を36バンドで観測を行う。 また、同じセンサが、1999年12月に打ち上げられたTerra衛星にも搭載されている。


図1:MODIS(左)とAMSR-E(右)のカラー合成画像
MODIS AMSR-E
AMSR-E MODIS AMSR-E HIGOS

図1は、2002年10月1日4:21(UTC)のMODIS(左)とAMSR-E(右)のカラー合成画像で、台風21号「HIGOS」を捉えている。台風21号は非常に早いスピードで移動し、この観測の数時間後に首都圏に上陸し、関東・東北・北海道の各地に大きな被害をもたらした。


MODIS画像では500m分解能の645、555、470nmバンドの放射輝度をカラー合成した。また、AMSR-Eは89GHz垂直・水平偏波、23.8GHz垂直偏波の輝度温度をカラー合成した。AMSR-E画像の海域における黄白色の部分は強い降水領域に、水色から紺色への色調変化は大気中の水蒸気や雲の増加にそれぞれ対応している。光学センサであるMODISの画像は非常に分解能が細かく、雲や海陸表面を精密に観測している。その一方、マイクロ波センサであるAMSR-Eの画像では、分解能は光学センサに比べて落ちるものの、雲に影響されず、また昼夜を問わずに観測できることが大きな特徴である。このMODIS画像はいわば人の目で見える雲や海や陸上の様子を表しているが、AMSR画像では大気中の水分や雲の中の雨など、人の目では見えにくい水に関わる世界を見せてくれる。


図2:MODIS(左)とAMSR-E(右)の拡大画像
MODIS AMSR-E
AMSR-E MODIS AMSR-E HIGOS

図1中の赤い枠内の領域を拡大したのが、図2である。MODISの拡大画像(左)において、屋久島の南東方向に島の影響によるカルマン渦列がきれいに観測されているが、AMSR-Eの拡大画像(右)においても同じ現象が見られる。AMSR-Eのアンテナは、これまで衛星搭載された同種センサの中でも最大のものであり、従来の約3倍の空間分解能を持つため、このような詳細な空間構造についても、観測が可能となった。


MODISデータはNASAのGoddard Distributed Active Archive Center (DAAC)から取得した。MODISデータはMODIS Adaptive Processing System (MODAPS)及びGoddard DAACにより処理され、Goddard DAACで保存・配布が行われている。