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トピックス

2002年7月

2002/7/31

AMSR-Eでみた極域海氷分布の変化

NASAの地球観測衛星Aqua搭載の、宇宙航空研究開発機構が開発した改良型高性能マイクロ波放射計(AMSR-E)による北極および南極周辺の擬似カラー合成画像。6.925GHz水平偏波、10.65GHz垂直・水平偏波を使用。海上における白色の部分が海氷に覆われた領域にほぼ対応している。上段は2002年6月2日〜4日の3日平均、下段は2002年7月21日〜22日の2日平均である。
この時期、北極域の海氷は減少、南極域では逆に成長しており、6月初めからの約50日間にかなり分布が変化していることがわかる。この変化の傾向は、8月から9月頃には北極域で増加、南極域で減少に転じる。南極域における海氷面積の年間変化は約1,500万平方キロメートルにもおよび、日本の面積の約40倍もの海氷が成長と消失を毎年繰り返していることになる。このような海氷分布の変動は、それ自身が地球の熱や放射のバランスに影響すると同時に、温暖化の兆候を反映するとも考えられ、継続した観測が必要とされている。
なお、画像では陸域を灰色で覆い隠してある。北極点付近の白い円形部分はAMSR-Eが観測していない領域である。

2002/7/5

Aqua衛星搭載AMSR-Eによる台風5号の観測


AMSR-E カラー合成画像
Rammasun7月4日2:26JST 台風5号
7月4日2:26JST
7月2日13:41JST 7月3日1:44JST 7月3日14:24JST 7月4日2:26JST
7月2日13:41JST 7月3日1:44JST 7月3日14:24JST 7月4日2:26JST

GMS-5 (ひまわり)赤外画像 GMS IRデータ提供:日本気象協会
7月2日14:00JST 7月3日2:00JST 7月3日14:00JST 7月4日2:00JST
7月2日14:00JST 7月3日2:00JST 7月3日14:00JST 7月4日2:00JST
宇宙航空研究開発機構の開発による、改良型高性能マイクロ波放射計(AMSR-E)が観測した、2002年台風5号「Rammasun」。AMSR-Eは2002年5月に打ち上げられた、NASAのAqua衛星に搭載されている。中段左から、2002年7月2日午後1時〜4日午前2時(日本時間)の観測で、約12時間間隔である。また、上段は4日午前2時の観測について、拡大したもの。上段と中段は89.0GHz(垂直・水平偏波)、及び23.8GHz(垂直偏波)の輝度温度情報をカラー合成している。海域における黄白色の部分は強い降水領域に、水色から紺色への色調変化は大気中の水蒸気や雲の増加にそれぞれ対応している。AMSR-Eは1日に2回、夜中と昼過ぎに日本付近を観測するため、このような連続的な観測が可能となる。時間の経過に伴って、台風の降雨域が徐々に組織化されながら北上していることがわかる。台風5号は7月2日には日本の地上レーダの観測可能領域からはほとんどはずれており、このような場合には衛星による観測が重要な気象情報となる。
下段は、対応する時刻の静止気象衛星「ひまわり」(GMS-5)搭載赤外センサによる雲画像である。両センサによる観測画像を比較すると、GMS-5による赤外観測では台風を中心とした広い領域に雲が広がっているため、その下の様子はわからないが、AMSR-Eによるマイクロ波観測では、雲を透過して高頻度に降雨域や陸域を観測することができる。