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JAXAが開発した、高性能マイクロ波放射計(AMSR)と、その姉妹センサである、改良型高性能マイクロ波放射計(AMSR-E)のセンサの仕様や概要について解説します。

ADEOS-II/AMSR

AMSR概要

AMSR logo
高性能マイクロ波放射計(Advanced Microwave Scanning Radiometer: AMSR)は、地球表面および大気から放射される微弱なマイクロ波帯の電波を多周波・多偏波で測定し、主に水に関する様々な地球物理量を推定します。水蒸気量や降水、海上風速といった従来の観測に加え、新しい周波数帯を利用した海面水温や土壌水分などの観測が期待されています。口径2mというマイクロ波放射計としては最大のアンテナを搭載し、地球全体をこれまでにない高い空間分解能で継続的に観測します。これらの長期的なデータは、水・エネルギー循環を含む気候システムの解明に役立つと共に、気候変動モニタリングの一角を担うと期待されます。準リアルタイムプロダクトは、気象庁などの現業気象予報モデルへの同化が研究され、予報精度の向上に寄与します。
AMSRはJAXAが2002年打ち上げた環境観測技術衛星(Advanced Earth Observing Satellite -II: ADEOS-II)に搭載されています。ADEOS-IIは複数の観測装置を搭載した総合プラットフォームであり、可視光からマイクロ波までの様々な波長の電磁波を同時に測定します。AMSRに限らずこれらの観測装置の複合利用により、地球上の現象を様々な観点から捉えることが可能です。

気候変動の長期的なモニタリングに貢献するため、AMSRの後継機シリーズは、Global Change Observation Mission (GCOM)の中核的観測装置のひとつとして継続搭載が提案されています。ADEOS-IIからGCOMに続く地球観測システムにより、15年の衛星気候学的データセットが構築されます。

AMSRプロジェクトは、アルゴリズム開発・検証に関して世界各国の研究者の協力を得た、国際的な取り組みです。