2003年5月14日
アラスカでの積雪観測 −速報−
春先の雪解けと凍結を繰り返す2003年4月12日から27日まで、米国アラスカ州の北極海沿岸、北緯71.17度、西経156.47度の北極圏にある町バローにて、積雪観測を行いました。
観測現場は、バローから3キロメートルほどツンドラ(凍土帯)に入った広大な雪原で、町から現場までの観測機材の輸送には荷を乗せた橇をスノーモビルで牽引して行きました。
現場での観測は、雪面に穴を掘り、深さごとに雪の結晶を採り、粒の大きさ、温度、汚れなど雪質や状態を詳しく調べました。この期間中気温の上昇が例年よりも早く曇りがちな空が続きましたが、現地でしか得られない北極圏の積雪の貴重な基礎データを得ることができました。
約二週間の期間中、みどりIIの上空通過と合わせて行った地上観測も、1キロメートル間隔の5ポイントで2日間各2パス、計4回の観測に成功しました。画像は4月26日、快晴に恵まれたバロー周辺の
GLI画像で、見渡す限りの銀世界です。左下から右上にかけて黒い楔(くさび)のように見えるのが海水面で、その下側がツンドラの雪原、上側が北極海を覆う海氷です。
GLIは積雪分布、雪の結晶の大きさや表面の汚れ具合などを観測し、太陽光の反射率の変化を捉えます。これによって、極や高緯度の地域スケールの気象や、地球温暖化などグローバルな気候変動に対して、雪氷がどのような影響を及ぼすか調べるのに役立つものと期待されています。
(観測協力機関:気象研究所、アラスカ大学、スティーブンス工科大学、サンディア国立研究所)
宇宙航空研究開発機構 地球観測利用推進センター
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