2003年5月7日
大自然の驚異、グランドキャニオン
〜太古の歴史を映し出す地層群〜
この画像は、
GLIが2003年3月21日に観測したアメリカ・アリゾナ州のグランドキャニオンです。白い部分は山頂を雪で覆われた山脈で、黒く見えている部分は湖・川などの水域です。
画像の東側に位置するパウエル湖から西側のミード湖にかけて、コロラド川に沿った約5000平方キロメートルがグランドキャニオン国立公園に指定されています。コロラド川がほぼ千葉県(5146平方キロメートル)に匹敵する面積の赤や茶色の地層を深く削り出し、無数の断崖を形作っている様子がわかります。
この世界最大の峡谷は、全長約450キロメートル(利根川のおよそ1.5倍)、深さ1.6キロメートルにもおよび、谷底を流れるコロラド川によって南北に二分されています。北壁と南壁の間(峡谷の幅)は広いところで29キロメートルも離れています。
人類を圧倒するこの断崖絶壁は、何十億年もかけて積もった海底の堆積物が隆起してコロラド高原となり、地下水や雨水がコロラド川となってこの地層を侵食することにより、600万年から1000万年という長い時間をかけて削り出されたものです。したがって、谷壁には始生代の古い地層(約20億年前)から新しい地層(約2億5000年前)まで、地球の歴史のほぼ3分の1に当たる地層を年代順に見ることができ、地質学上も非常に重要な地位を占めています。グランドキャニオン国立公園は、ユネスコによって1979年に世界遺産に登録されました。
この画像では、可視光の観測波長帯である、660ナノメートル(チャンネル22)、545ナノメートル(チャンネル21)および460ナノメートル(チャンネル20)のデータをそれぞれ、赤、緑、青に割り当て色合成をしました。
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