2003年4月18日
光学センサとマイクロ波レーダによる、湿原モニタリング
上の画像は、
GLIが2003年3月20日に観測した南米大陸中央部です。赤い矢印の先端が、ラプラタ川の右岸に位置するアルゼンチンの首都、ブエノスアイレスです。緑色は植物の多い所を、緑に茶色が混じっている所は耕作地を、白色は雲を、黒っぽく見えるのは川や湖の水面を示しています。
画像の中央左寄りの黒っぽい部分がパンタナール湿原で、赤い四角で囲ってあります。ブラジル、ボリビア、パラグアイの3つの国にまたがるパンタナール湿原は、日本の本州に匹敵するほどの広さを持ち、数多くの動植物が生息していることで有名です。画像の観測日は、現地では雨季から乾季に移りつつある時期にあたり、湿原の面積が小さくなりつつあります。
一方、この2番目の画像は、上の画像の赤い四角部分をクローズアップしたもので、ふよう1号(JERS-1)搭載の合成開口レーダ(SAR)の1997年1月29日〜2月7日のデータを基に作ったモザイク画像です。この時期は雨季にあたり雲に覆われることが多いのですが、SARはマイクロ波による観測を行うため、雲を透過してその下の地表面を見ることができます。この画像で暗く見えるのは水面、右下半分の円弧で囲まれたやや暗い部分が湿原で、草木が浸水した状態を表しています。左下の明るい部分は立木の下に水が張り、マイクロ波の散乱が強く出ている所です。
このように、比較的広い地域を俯瞰的かつ頻繁に観測し、植生分布を調べることができる光学センサ(
GLI)と、観測域の地形や土地被覆をより詳細に見ることができる高分解能のマイクロ波レーダ(SAR)を併用することによって、地球上で起こっている自然現象や環境の変化を詳しく観測することができます。
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