JAXA/EORC台風データベース Version 1.0 2005年6月 宇宙航空研究開発機構 地球観測研究センター
JAXA/EORC台風データベース Version 1.1 2011年3月 宇宙航空研究開発機構 地球観測研究センター

1. 台風データベースの概要
1-1. はじめに
本データベースは、TRMM/PR、TMI、VIRS、Aqua/AMSR-E、Midori-II /AMSRの観測のすべての期間で得られた標準プロダクトから、台風(台風、ハリケーン、サイクロン等の熱帯低気圧全般)が観測されている部分を検索し、それらの領域について、おもな標準プロダクトから切り出して収録したものです。本データベースのデータファイルのフォーマットはHDF形式で、構造はオリジナルの標準プロダクトとまったく同じです。
1-2. 収録データの概要
  • 対象期間

  • TRMM/PR、TMI、VIRS : 1997年12月7日〜
    ただし、2001年8月7日〜8月24日までは、衛星高度上昇のため、データが取得されていません。
    Aqua/AMSR-E : 2002年6月〜
    Midori-II /AMSR : 2003年4月〜2003年10月

  • 対象エリア
  • PR : 北緯36度〜南緯36度
    TMI , VIRS : 北緯36度〜南緯36度
    AMSR , AMSR-E : 全域

  • 収録プロダクト
  • PR : 2A23, 2A25
    TMI : 1B11, 2A12
    VIRS : 1B01
    プロダクト
    バージョン
    1997/12/07 〜 2001/08/062001/08/07 〜 2001/08/242001/08/25 〜 2004/03/312004/04/01 〜
    5 軌道高度上昇
    のためデータ
    未取得
      
    5A   
    6   
    AMSR : Level 1B(輝度温度), Level 2AP0(降水量), Level 2WV0(水蒸気量)
    AMSR-E : Level 1B(輝度温度), Level 2AP0(降水量), Level 2WV0(水蒸気量)

  • ファイル形式
  • HDF形式(gzip圧縮)
    2. データの編集方法
    2-1. TRMM
    本データベースで収録されているデータファイルは、PRで降雨が観測されている領域と、台風の位置情報とを関連づけ、台風の観測された領域を標準プロダクトから切り出したものです。
    ここでは、標準プロダクトから台風が観測されている領域を検出し、データファイルを編集する手法について解説します。
  • 経路データの入手

  • 下記の台風情報サイトより、台風の位置情報データを取得し、予報データを除いた実況データ部分のみを抽出します。
    2011年2月まで : ハワイ大学「Tropical Storms, Worldwide」(封鎖)
    2011年3月から : ユニシス社「Unisys Weather Hurricane/Tropical Data
  • 降雨域の検出

  • 2A25標準プロダクトに含まれる、全レンジビンの降雨強度の平均値について、各スキャンごとに求めたアングルビン方向の合計値を、スキャン方向に5スキャン移動平均した値が3mm/h以上となるスキャンが存在する場合に、降雨域として検出します(図中の降雨域Aおよび降雨域C)。なお、別の3mm/h以上の値が24スキャン以内に存在する場合は、合わせて一つの降雨域とします。(図中の降雨域B)
    さらに、ある降雨域の位置から経緯度それぞれ±5度の範囲に他の降雨域が存在する場合、それらのすべての降雨域を含むような、最も広い矩形範囲(図中の黒枠)の経緯度を求めます。
    このようにして求められた範囲は、降雨域が連続しない場所もある程度含まれている、いわば広域の降雨地域であり、熱帯低気圧そのもの雨域が不明瞭な場合や、雨域が断片的な場合にも対応するためのものです。
  • 降雨域と台風位置との関連づけ

  • 上記の矩形雨域が含まれる一軌道分の標準プロダクトの観測時刻に対して、前後6時間以内に存在する台風の位置を抽出します。
    台風が矩形の雨域(図中の黒枠)またはこれから±5度に拡張した範囲(図中の赤枠)に含まれる場合に、TRMMにより台風が観測されたものして、本データデースの収録対象としています。

  • HDFデータの編集

  • 台風が観測された場合には、台風位置と上述の矩形雨域(図中の黒枠)を含み、その範囲からさらに経緯度それぞれ5度づつ拡張した範囲を、最終的なデータ範囲としています。
    このようにして求められたデータ範囲を、1軌道分の標準プロダクトから切り出しをおこなうことにより、本データベースにおけるHDFデータが作成されています。
    なお、上記の編集は台風ごとにおこなわれており、複数の台風が近い位置に存在する場合には、データ範囲が重複する場合でも別ファイルとなることがあります。
    なお、作成されたHDFデータのうち、雲画像などから判断して明らかに台風の検出が不適当であるものについては、データベースの対象から除外や、データ範囲の変更をおこなったものがあります。
    このようにして編集されたHDF形式のデータファイルは、gzip圧縮をおこない、データベースに収録しました。
    2-2. AMSR/AMSR-E
    本データベースで収録されているデータファイルは、台風の位置情報を基にして、台風が観測された領域を標準プロダクトから切り出したものです。
    ここでは、標準プロダクトから台風が観測されている領域を検出し、データファイルを編集する手法について解説します。
  • 経路データの入手

  • 下記の台風情報サイトより、台風の位置情報データを取得し、予報データを除いた実況データ部分のみを抽出>します。
    2011年2月まで : ハワイ大学「Tropical Storms, Worldwide」(封鎖)
    2011年3月から : ユニシス社「Unisys Weather Hurricane/Tropical Data
  • 対象データの決定

  • AMSRおよびAMSR-Eが北緯25度を観測した時刻を基準時刻とし、台風経路データの時刻と位置から、基準時刻における台風の位置を推定します。推定した台風位置の経度±15度の範囲にAMSRおよびAMSR-Eのパスの中心経度が存在する場合、AMSR/AMSR-Eデータを切り出しの対象とします。
  • HDFデータの編集

  • データが切り出しの対象とされた場合には、上記で推定した台風位置の緯度を中心として−97ラインから+98ライン計196ラインを切り出す範囲とします。
    このようにして求められたデータ範囲を、標準プロダクトから切り出しをおこなうことにより、本データベースにおけるHDFデータが作成されています。ファイルフォーマットはAMSR/AMSR-E標準プロダクトに準じていますが、一部異なるデータが入力されています(表参照)。
    なお、上記の編集は台風ごとにおこなわれており、複数の台風が近い位置に存在する場合には、データ範囲が重複する場合でも別ファイルとなることがあります。
    また、作成されたHDFデータのうち、雲画像などから判断して明らかに台風の検出が不適当であるものについては、データベースの対象から除外や、データ範囲の変更をおこなったものがあります。
    このようにして編集されたHDF形式のデータファイルは、gzip圧縮をおこない、データベースに収録しました。
    表 標準プロダクトフォーマットとの相違点
    コアメタ
    項目(属性)変更内容
    ShortNameAMSR/L1B:AMSL1BTY
    AMSR/L2:AMSL2TY
    AMSR-E:AMEL1BTY
    AMSR-E:AMEL2TY
    SizeMBECSDataGranule切り出しデータのサイズ(Mbyte)に変更
    ProductionDateTime切り出しデータを作成した時刻(UTC)に変更
    RangeBeginningTime切り出しデータの開始時刻(UTC)に変更
    RangeBeginningDate切り出しデータの開始日(UTC)に変更
    RangeEndingTime切り出しデータの終了時刻(UTC)に変更
    RangeEndingDate切り出しデータの終了日(UTC)に変更
    GringPointLatitude切り出しデータの有効範囲緯度に変更
    GringPointLongitude切り出しデータの有効範囲経度に変更
    NumberofScans切り出しデータの走査数(196)に変更
    データ
    項目変更内容
    Spill_Overを除く全てスキャン走査数を196に変更
    3. データの扱い方
    3-1. TRMM
    3-1-1. ファイル名・ダウンロード方法
    本データベースにおけるHDFデータのファイル名は、下記のように「プロダクト名」「観測日」「軌道番号」「プロダクトバージョン名」「熱帯低気圧番号」「台風名」「拡張子(HDF)」により構成されています。

  • プロダクトバージョン

  • TRMMの標準プロダクトすべてに統一して付けられるバージョンで、降雨算定アルゴリズムの改訂とともに一括して変更されるものです。
    本データベースで収録されているデータは、プロダクトバージョン「5」「5A」「6」のいずれかです。2001年8月7日以前のデータはプロダクトバージョン「5」、2001年8月25日から2004年3月31日までのデータはプロダクトバージョン「5A」、2004年4月1日以降のデータはプロダクトバージョン「6」です。
  • 軌道番号

  • TRMMの衛星軌道の南端から南端までを1周として、TRMMの運用開始から通算した周回数をあらわす番号で、「オービット番号」「シーン番号」と呼ばれることもあります。軌道番号はHDFファイルのファイル名に付けられており、TRMMの標準プロダクトのファイル単位でもあります。
    本データセットでは、標準プロダクトから台風の観測されている部分を切り出して、その部分のデータを1ファイルにしているため、軌道番号が同じでも台風ごとに別のファイルとなっている場合もあります。
    HDFデータは、本データベースのホームページよりダウンロードすることができます。ダウンロードされたデータは、gzip圧縮されています。
    3-1-2. TRMMプロダクトについて
    各プロダクトに格納されている物理量やフォーマットに関する詳細な情報は、下記の文書を参照して下さい。
  • TRMMデータ利用手引書 (PDF 4.0MB)
  • TRMMデータ講習会資料 データの読み出し方法について (PDF 409KB)
  • TRMMデータ講習会資料 Appendix (PDF 1.7MB)
  • 地球観測データ利用ハンドブック -TRMM編- (PDF 11.2MB)
  • また、2001年8月の衛星高度変更にともなうプロダクトへの影響に関しては、下記の文書を参照してください。
  • 熱帯降雨観測衛星(TRMM)の軌道高度変更について(報告)
  • PR Version 5Aプロダクト使用上の注意
  • 1B21プロダクトバージョン5Aに関する注意事項
  • プロダクトバージョン6のデータについては下記の文書を参照して下さい。
  • PRバージョン6プロダクトにおける変更点(PDF 72KB)
  • TRMM降雨レーダー(PR)のアルゴリズム説明書(第2版) (PDF 463KB)
  • NASA プロダクトバージョン6情報(英語ページ)

  • 3-1-2. 主要な物理量について
  • 降雨レーダ(PR)プロダクト
  • 物理量 格納プロダクト 項目名 配列の要素 単位
    降雨タイプ分類 2A23 rainType スキャン数×49 -
    ブライトバンド高度 2A23 HBB スキャン数×49 m
    降雨頂高度 2A23 stormH スキャン数×49 m
    レーダ反射因子
    (降雨減衰補正済)
    2A25 correctZfactor スキャン数×49×80 dBZ
    降雨強度 2A25 rain スキャン数×49×80 mm/h
    地表付近の降雨強度 2A25 nearSurfRain スキャン数×49 mm/h
  • TRMMマイクロ波観測装置(TMI)プロダクト
  • 物理量 格納プロダクト 項目名 配列の要素 単位
    輝度温度
    10,19,37GHz 水平/垂直
    21GHz 垂直
    1B11 lowResCh スキャン数×7×104 K
    輝度温度
    85GHz 水平/垂直
    1B11 highResCh スキャン数×2×208 K
    降雨量 2A12 surfaceRain スキャン数×208 mm/h
    雲水量 2A12 cldWater スキャン数×14×208 g/m3
    雨水量 2A12 precipWater スキャン数×14×208 g/m3
  • 可視赤外観測装置(VIRS)プロダクト
  • 物理量 格納プロダクト 項目名 配列の要素 単位
    放射輝度 1B01 channels スキャン数×5×261 mW/cm2μm・sr

    3-2. AMSR/AMSR-E
    3-2-1. ファイル名・ダウンロード方法
    本データベースにおけるHDFデータのファイル名は、下記のように「衛星名」「センサ種別」「観測開始日」「パス番号」「A/D区別」「プロダクトコード」「熱帯低気圧番号」「拡張子(HDF)」により構成されています。

  • 衛星名

  • P1はEOS−PM1、A2はADEOS-2を表します。
  • センサ種別

  • AMEはAMSR-E、AMSはAMSRを表します。
  • 観測開始日

  • 切り出したデータの基になった標準プロダクトの観測開始日をUTCで示しています。
  • パス番号

  • AMSR/AMSR-Eのパス番号を示しています。
  • A/D区別

  • 起動方向を示します。A(Ascending)は南->北、D(Descending)は北->南向きに衛星が移動して観測したことを表します。
  • 熱帯低気圧番号

  • 英字は発生地域を、数字は地域ごとに各年(南半球では7月〜6月を1区切りとする)発生した順番を表します。
    英字に対応する地域は以下のとおりです。
    W: 太平洋北西部(日付変更線以西)
    C: 太平洋北中部(日付変更線〜西経140度)
    E:太平洋北東部(西経140度以東)
    L: 大西洋北部
    A , B: インド洋北部
    S , P: インド洋南部および太平洋南部


    HDFデータは、本データベースのホームページよりダウンロードすることができます。ダウンロードされたデータは、gzip圧縮されています。
    3-2-2. AMSR/AMSR-Eプロダクトについて
    各プロダクトに格納されている物理量やフォーマットに関する詳細な情報は、下記の文書を参照して下さい。
  • AMSRフォーマット説明書

  • AMSRレベル1フォーマット説明書(PDF形式 : 5.01MB)

    AMSRレベル2フォーマット説明書(PDF形式 : 301KB)

    AMSRレベル2Mapフォーマット説明書(PDF形式 : 384KB)

    AMSRレベル3フォーマット説明書(PDF形式 : 516KB)

  • 地球観測データ利用ハンドブック-AMSR-E編- 第4版(PDF形式:1.50MB)

  • (付録:AMSR-Eレベル-1フォーマット説明書/PDF形式:1.9MB)

    (付録:AMSR-Eレベル-2フォーマット説明書/PDF形式:327KB)

    (付録:AMSR-Eレベル-2mapフォーマット説明書/PDF形式:384KB)

    (付録:AMSR-Eレベル-3フォーマット説明書/PDF形式:487KB)


    4. その他
  • 「台風データベース」という呼称について

  • 本データセットでは、最大風速が34ノット未満の熱帯低気圧や、太平洋北西部以外の地域に存在し「ハリケーン」や「サイクロン」等の名称で呼ばれるものなど、正確には「台風」と呼ばれないものも含めた熱帯低気圧全般を対象としています。このため、便宜上「台風データベース」の名称が熱帯低気圧全般に対して用いられています。
  • 熱帯低気圧の分類基準について

  • 熱帯低気圧の正式な分類や命名は、国際気象機関(WMO)が地域ごとに定める「地域センター」によっておこなわれますが、本データベースでは、米国の合同台風警報センター(JTWC)、米国海洋大気庁ハリケーンセンター(NHC)、および中部太平洋ハリケーンセンター(CPHC)で用いられている基準に準拠しています。
  • 台風情報、経路データの出典について

  • 各センサの観測データから熱帯低気圧を検出する際の熱帯低気圧の位置情報として、下記のwebサイトで公開されている経路データを使用しました。
    2011年2月まで : ハワイ大学「Tropical Storms, Worldwide」
    2011年3月から : ユニシス社「Unisys Weather Hurricane/Tropical Data」
    また、本データベースに収録されている経路図や、熱帯低気圧の分類、最大風速等の情報は、JTWC, NHC, CPHCの解析によるベストトラックデータを使用しました。
  • 時刻について

  • 本データベースでは、経路図や観測画像などにおいて、時刻に関する情報はすべて世界標準時を使用しています。
  • 経路図、画像等について

  • 本データベースで表示される図(PR3Dを除く)は、等緯度経度の正距円筒図法を使用しています。
    これらの画像については、Wessel and Smith(1995)による、「The Generic Mapping Tools (GMT)」を使用して作成しました。
  • 可視化ソフトウェア、およびツールキットについて

  • TRMMならびにAMSR/AMSR-Eプロダクトの可視化ソフトウェア、ツールキットに関しては、こちらで紹介しております。
    5. 注意事項
  • JAXA/EORC台風データベースの画像データをパンフレットに掲載する等により広く配布する場合には、EORC台風データベース事務局(j-typhoon@jaxa.jp)にコンタクトして下さい。
  • 台風データベースを用いて論文、レポート等を出版する場合は、謝辞として以下のような文章を明記して下さい。
  • 日本語の場合
    「JAXA/EORC台風データベース (Ver. 1.1)は、宇宙航空研究開発機構地球観測研究センターにおいて作成されており、同センターより提供を受けました。」

    英語の場合
    "'JAXA/EORC Tropical Cyclone Database (Ver. 1.1)' was produced and supplied by the Earth Observation Research and application Center, Japan Aerospace Exploration Agency."

    また、EORC/TRMM事務局では関連文献の収集を行っています。台風データベースを利用した論文、レポート等などについて、別刷またはコピーを送るなどの御協力をお願い致します。

    送付先は以下の通りになります。

    〒305-8505
    茨城県つくば市千現2-1-1
    宇宙航空研究開発機構 地球観測研究センター
    EORC台風データベース事務局
    FAX: 029(868)2961
    E-mail: j-typhoon@jaxa.jp

    台風データベースに関してコメント、疑問、質問などありましたら、EORC台風データベース事務局(j-typhoon@jaxa.jp)に御連絡下さい。