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画像ライブラリー2003年4月10日

AMSR-Eがとらえた、今年のエルニーニョ


AMSR-Eがとらえた、今年のエルニーニョ

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21世紀最初のエルニーニョ現象(*)が2002年秋に成熟期を迎えたことは、以前にこのホームページで紹介しました(「2002年から2003年にかけてのエルニーニョ」参照)。中部から東部にかけての赤道太平洋は通常、西部に比べると海面水温が低いのですが、エルニーニョ現象が起こると、通常の年よりも海面水温が数°C上昇します。

この画像は、改良型高性能マイクロ波放射計(AMSR-E)によって観測された、熱帯太平洋の月平均海面水温の平年値(気候値)からの差(偏差)です。赤が平年よりも海面水温が高い領域を、青が低い領域を示します。エルニーニョの成熟期であった2002年11月(上段)には、中部から東部の赤道太平洋で、海面水温が平年よりも2〜3°C以上高かったのですが、2003年1月(中段)になると、東部赤道太平洋の海面水温が平年に近くなってきました。さらに、2003年3月(下段)になると、ペルー沖だけでなく中部から東部の赤道太平洋の大部分で、平年並みか平年よりも少し高い程度になっており、赤道太平洋における海面温度の偏差が徐々に小さくなっていることが分かります。このエルニーニョ現象がこのまま終息するかどうかはまだ確実ではありませんが、このように時間の経過を追ってモニタすることで、エルニーニョのような大きなスケールの変動の実態を調べることが可能となります。

AMSR-Eの海面水温は、6.9GHz垂直偏波輝度温度を利用して推定した毎日の海面水温から1ヶ月平均を算出しています。AMSR-Eは、宇宙開発事業団が開発した「みどりII」搭載のAMSRの姉妹センサで、2002年5月に打ち上げられたNASAのAqua衛星に搭載されています。

(*)エルニーニョ現象:気象庁の定義では、エルニーニョ監視海域(北緯4度〜南緯4度、西経150度〜西経90度)の海面水温偏差の、5か月移動平均値が6か月以上続けて+0.5°C以上となった場合をエルニーニョ現象、-0.5°C以下となった場合をラニーニャ現象としています。詳しくは、気象庁のエルニーニョ現象のページへ。
>> 画像ライブラリー「2002年から2003年にかけてのエルニーニョ」へ
>> 気象庁 エルニーニョ/ラニーニャ現象の情報ページへ

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