ADEOS-II Science Project

画像ライブラリー2003年3月31日

若狭湾での降雪観測実験


2003年1月12日から2月5日にかけて福井県福井市周辺で、AMSR/AMSR-Eデータ検証のための固体降水(降雪)観測実験を実施しました。これは、同県三国町に設置したドップラーレーダーと福井空港での地上観測、および衛星のデータを比較するもので、降水中に雪や氷などの固体が含まれている場合の、降水量を算出するアルゴリズムの精度を高めるために行われました。

ゾンデ(気球)による高層気象観測二重偏波ドップラーレーダー
福井空港でのゾンデ(気球)による高層気象観測。福井空港ではゾンデ観測のほか、地上気象、降水粒子などの観測を行いました。二重偏波ドップラーレーダーは、垂直と水平の2つの偏波を交互に発射することで降水粒子の形状を識別します。この降水形状の情報とレーダーの反射強度から、雨、雪、あられ、雹などの降水タイプを推定できます(観測範囲は半径120km)。

みどりII(ADEOS-II)搭載のAMSRとドップラーレーダーによる、典型的な冬型の季節風の吹き出しに伴う降雪の観測画像を紹介します。

降雪の観測画像

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この画像は、2003年1月30日午前11:00頃に観測したAMSRの37GHzと89GHzのデータを処理し、散乱と吸収に関する情報を取り出したものです。左図は、89GHzの垂直、水平偏波の電波の強さから散乱の強さを算出したもので、黄色から赤に近づくほど強い散乱があることが分かります。一方、右図は、37GHzの垂直、水平偏波の電波の強さから吸収の強さを算出したもので、黄色から赤に近づくほど強い吸収があることが分かります。これらは、雪などの固体降水の強さを表す情報として使うことができます。レーダーの降水タイプの画像(下の右図)と比べると、レーダー画像中の白で示されている強い雪の部分と一致しています。

降水タイプ反射強度

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左図:(644×646ピクセル:125KB)
右図:(644×646ピクセル:95KB)


左図は、AMSRとほぼ同時刻に観測したドップラーレーダーの画像で、反射強度を示しています。降水粒子が多いほど反射強度は強く、赤い色で表されます。寒気の吹き出しによる筋状の雲によって降雪がもたらされている様子がよく分かります。一方、右図は降水タイプを推定したもので、白が強い雪、水色が乾雪、薄紫色が霧雨に対応しています。同時刻に地上観測を実施した福井空港では降雪が観測されており、レーダーデータの解析結果が信頼できるものと考えられます。

今回の観測実験のデータをさらに解析することにより、冬季の降雪に伴う降水量や高緯度地方の降水量を推定する精度を高めることができます。なお、この観測実験では,福井空港建設調査事務所、北陸電力など、関係機関の多大なるご協力をいただきました。

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